海外在住者が日本で納めた年金を請求する方法

くらしフィードでは、在米者を対象に、日本で納めた年金を請求するための基本的な手続きに関して、社労士の土居靖子先生を招き、ウェブセミナーを開催しました。

土居社労士によると、年金の手続きに必要な書類や手続きは、個人によって異なる、まさに「ケース・バイ・ケース」の制度。状況にとっては、提出書類が煩雑になる場合があります。請求や受給の基本的な原則や、海外在住者と日本在住者の異なる部分についてお話いただきました。

1、年金請求のきほん

受給要件を満たす方が、受給開始年齢になると、年金を受給する権利(受給権)が発生します。しかし、自動的に受け取ることはできません。つまり「請求手続き」が必要となります。

また、受給要件を満たせば、国籍に関係なく年金を受け取る権利が発生します。

2、海外在住者の年金請求基礎知識

日本に住民票がない方は、年金事務所からの請求書は届きません。したがって、ご自身で窓口に請求書を提出する必要があります。また、この際、戸籍、住民票などの「添付書類」が必要となります。

年金の受給権は、誕生日の前日に発生します。添付書類は、年金請求書の提出日において、6カ月以内に交付されたものが必要となります。戸籍など、あらかじめ用意しても使用できない場合がありますので、注意が必要です。

3、年金受給までの2つの「ステップ」

受給のための一つ目のステップは、「受給要件を満たしているかどうか」。二つ目のステップは、請求後「支給が決定するかどうか」。年金は、日本年金機構による審査(裁定)を経て、初めて年金を受け取ることができます。

現在の受給要件は、次の二つです。(2017年8月1日以降)

(1)保険料納付済み期間(会社で厚生年金に加入していた期間、自分で国民年金保険料を支払った期間)+(2)合算対象期間(いわゆるカラ期間。日本国籍があり、海外在住していた20歳以上60歳未満の期間)が10年以上あれば、年金を受け取ることが可能です。

*元日本国籍を有する人で、アメリカなど「日本と社会保障協定を結んでいる国」に住んでいる場合は、社会保障協定にもとづいて「10年要件」の年数をカウントできる場合があります。

審査を受けるための「請求書」と「添付書類」について。

請求書は、日本の年金事務所、または街角の年金相談センターの窓口に用意されていますが、海外在住の方は、サイトから請求書をダウンロードする必要があります。

→【ダウンロード】 年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

添付書類に関して、全ての方に必要な書類は、以下のとおりです。

・ご本人の生年月日を明らかにできる書類(戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか)が必要です。日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は、原則不要。

・受取先金融機関の通帳等(本人名義)

・ご本人(請求者)の厚生年金の加入期間が20年以上かつ配偶者または18歳未満のお子様がいる方は、別途戸籍謄本(記載事項証明書)や、世帯全員の住民票の写し、配偶者の収入が確認できる書類、子の収入が確認できる書類

・ご本人(請求者)の厚生年金の加入期間が20年未満で、配偶者の厚生年金(共済)の加入期間が20年以上の方

・戸籍謄本(記載事項証明書)、世帯全員の住民票の写し、請求者の収入が確認できる書類

・その他ご本人の状況によって必要な書類等
年金手帳、雇用保険被保険者証、年金加入期間確認通知書、年金証書、医師または歯科医師の診断書、合算対象期間が確認できる書類。

請求者の住所が、日本国外の場合は、上記の書類に代えて次の書類が必要となります。

①世帯全員の住民票の写しに代えて在留国の日本領事館による証明(本人および配偶者等の在留証明書)。取得に1カ月くらいかかる場合もあります。
②所得証明書が必要な場合、滞在国で税の申告を行っている方はその申告書のコピー、申告をしていない方は所得に関する申立書
③「年金の支払を受ける者に関する事項」年金を受け取る金融機関や口座番号、住所を届出るための書類です。口座証明、小切手帳のコピー、通帳のコピー等
④「租税条約に関する届出書」
年金にかかる二重課税を回避するために必要な書類です。租税条約締結国に居住している場合は届出書を2部提出してください。

4. 遺族年金について

残された配偶者の方は、遺族年金を受け取れる可能性があります。

※遺族年金を受け取るためには、原則として、亡くなった方の保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合算して25年以上あることが必要です。
※保険料納付済期間・保険料免除期間を合算して25年未満の方は、合算対象期間を確認するため次の書類を添付してください。

土居社労士事務所では、面談をもとに、支給手続きをご依頼いただいた場合、年金事務所にて年金記録の確認をいたします。受給要件を満たす場合、請求の手続きに入ります。

社会保険労務士 土居 靖子

米国在住の方、日本の老齢年金の請求手続きはお任せください!日本の年金事務所の窓口で請求を受付していた経験から、請求に必要な書類や手続きに関する詳細のアドバイスが可能です。わかりやすい丁寧な説明を心がけております。海外在住の方もぜひお気軽にお問い合わせください。

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