パンデミック以降、帰国される方の話を聞く機会が増えたように思います。今回は日本国籍を喪失した方が、再び日本に戻って生活する再帰化の流れについて、行政書士の青山純子さんにお話を伺いました。
ーー再帰化のお話の前に、国籍離脱のルールについて教えてください。
アメリカの国籍を取得した時点で、日本では日本の国籍を失うことになります。日本は二重国籍という考え方がありませんので、30日以内に国籍を離脱する届出を、お住まいの国にある日本大使館にしなければなりません。届出は義務とされていて、しないことは本来は違法行為で処罰の対象になります。ご注意が必要です。
余談ですが、外国の国籍を取得した後、届出をせずに日本の年金を収めていた方がいらっしゃったとして、受給年齢に達したからその間支払った年金を請求できるかというのは、実は判例がわかれています。ケースバイケースですので、専門家の助けが必要になります。
ーー再帰化を申請する流れについて教えていただけますでしょうか。
まずは在留資格認定書とビザを取得して日本に戻り、しばらく生活をした上で帰化申請をします。
この期間は3年や5年など、その方の状態によって異なります。少しづつ要件が厳しくなっていますので、時間はかかるものと考えておいた方が良いかと思います。
ーー在留資格認定書とは何ですか? どこで取得するのですか?
ざっくり言うとビザと一緒で、日本に来るための資格です。日本でどのように生活をするかのパターンに応じた資格を取得することになります。在留資格は日本の入国管理局で取得します。それを持って、現地の大使館でビザ取得の手続きをすることになります。
ーー在留資格の取得に要する期間はどれくらいでしょうか?
出してみないとわからないところですが、2~3ヶ月で出る方もいれば、半年、1年かかる方もいます。その方の状況によって変わりますので、一概に言えません。
なお、今年3月から在留資格認定書を電子メールで受け取ることができるようになりました。日本からの配達に要する時間が短縮できることになりました。
ーービザの種類は?
元日本人の方が戻られるということですので、日本人の配偶者等ビザを取るのが一般的です。日本人の親から産まれているということで、ご本人が「等」に該当します。なお、ビザや在留資格を取得する際には、日本での生活をサポートする保証人を示す必要があります。保証人は「連絡がとれサポートしてくれる方」と規定されており、日本人の親族のどなたかが身元保証人になるケースが多いです。
ーー配偶者等ビザの期間はどれくらいでしょうか。
申請してみないとわかりませんが、6ヶ月から5年の間です。
ーー日本に帰って生活をして、帰化申請ができるタイミングはいつになるのでしょうか。
個々の事情によりますが、一般的には3年は考えていただきたいと思います。
ーー再帰化申請にはどのような書類を用意するのでしょうか。海外から取り寄せが必要になるものもありますでしょうか。
外国人が帰化する場合と一緒で、用意する書類は100ページや200ページに上ります。米国での納税や交通違反など軽いものを含む犯罪歴に関する書類、現地で結婚された方は婚姻や離婚に関する書類が必要になります。提出書類は〇〇ヶ月以内に取得したものなどの制限があり、現地に発行をお願いするなどの手間がかかります。
ーー例えば外国籍の配偶者と一緒に日本に戻りたいという場合、どのようなステップになりますでしょうか。
一方が日本国籍を保持していれば、外国籍の配偶者の方が配偶者等ビザを取るか、観光ビザで入国した後に、配偶者等の在留資格を申請することが考えられます。配偶者の方がいつ帰化申請をできるのかは、個々の事情によります。
日本国籍を離脱している場合は、まず日本人の配偶者等でお一人で入ってこられて、何年間かをかけて帰化申請をしてから呼び寄せるという形になります。離れ離れになってしまいますが、その間は観光ビザなどで行き来することになるかと思います。かなりご高齢であれば、それだけお時間をかけてする必要があるのか、一考を要する場合もあるかと思います。
ーーなるほど、よくわかりました。こうした在留資格の取得から再帰化まで申請業務を代行いただけるのは、行政書士さんだけでしょうか。
士業では行政書士のみになります。お困りのことがありましたらご相談いただけますと幸いです。
インタビュー:青山純子
青山行政書士オフィス
インタビュワー:くらしフィード編集部