印鑑証明書はどうする?知っておきたい海外在住者の相続手続き

海外在住者も相続できる?

もちろんです。基本的な手続きは一緒ですが、国内在住者とは異なる書類が必要になる場合があります。今回は主に海外に居ながら手続きするケースについて考えてみましょう。

日本で相続が発生した場合、法定相続人を調査・確定します。遺言書がない場合、または遺言通りに遺産を分割しない場合には遺産分割協議を相続人全員で行います。これがまとまったら遺産分割協議書を作成します。

相続人の調査には、全員の戸籍謄本が必要となります。本人以外に、配偶者、直系尊属(父母、祖父母等)若しくは直系卑属(子、孫等)が、本籍のある市区町村で請求をすることができます。

遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印の押印印鑑証明書が必要となりますが、日本に住所を持たない海外在住者は印鑑証明書を取得できません。

印鑑証明書の代わりとなる「署名証明」

印鑑証明に代わるものとして、在外公館で取得できるのが署名証明です。署名証明は、領事の面前で行われた私文書上の署名及び拇印が申請者本人のものであることを証明するものです。

日本から送られてきた遺産分割協議書を持参する場合と、書類がなく、在外公館が用意する書式を持って署名証明を行う場合があります。

在ニューヨーク日本総領事館のホームページでは、署名証明を行うには、遺産分割協議書(ある場合)のほか、「署名証明申請書」と有効なパスポート、グリーンカードやビザなどの滞在資格を証明する書類が必要とあります。なお、署名および拇印は担当者の面前で行わなければならず、予め署名してはなりません。

遠方にお住まいの方は、1日領事館(領事出張サービス)の機会を利用することを検討してもいいかもしれません。在ニューヨーク日本国領事館では、毎年春と秋の年に2回、バッファロー、ピッツバーグ、フィラデルフィア、プエルトリコ等で証明書の交付や受付を行なっています。開催日時は領事館のホームページやメールマガジン、日系媒体等を通じて発表されます。

住民票の代わりとなる「在留証明」

遺産分割協議で不動産を相続するとなった場合、印鑑証明書に加えて、相続登記に住民票が必要となります。海外在住者の場合、海外転出届けを出して住民登録を抹消している方がほとんどかと思います。この場合、住民票の代わりに、在外公館で在留証明を取得することになります。

在ニューヨーク日本総領事館は、在留証明について「外国のどこに住所(生活の本拠)を有しているか(現住所の証明:形式1)、過去にどこに住所を有していたか(現住所及び過去の住所証明(米国内に限ります):形式2)、又は同居している家族(現住所及び同居家族の証明:形式2)を証明するもの」と説明しています。

発行に際して必要な書類は、在留証明申請書と有効なパスポート、グリーンカードやビザなどの滞在資格を証明する書類に加え、「住所を立証できる文書」として、公共料金の請求書や米国の運転免許証、納税証明、銀行のステートメントなど本人の名前と住所が記載された文書が必要です。

アメリカに帰化した人の相続手続き

在ニューヨーク日本国総領事館では、アメリカに帰化し、日本国籍を喪失された場合でも、アメリカのパスポートと除籍を証明する書類(除籍謄本等)を提出することで、署名証明および在留証明を発給してくれます。日本にいる間に不動産を購入し、その後アメリカに帰化された場合なども、同様の手続きで証明書類の取得が可能です。詳しくは各領事館・大使館にお問い合わせください。

宣誓供述書

戸籍謄本や印鑑証明、住民票の代わりに必要な内容を文書化した宣誓供述書を代替書類とすることができます。宣誓供述書は英文で作成し、現地の公証人の前で内容を宣誓し、認証を得ます。相続登記をする場合、内容について事前に法務局に確認を取って慎重に進める必要があります。米国籍の相続人で日本にいる場合は、米国大使館が公証業務を行なっています。

いかがでしたでしょうか。海外在住者の場合、日本との文書とのやり取りなどに時間がかかり、煩雑になりがちです。不必要な時間の浪費を避けるためにも、事前に専門家に相談してもよいでしょう。

なお相続登記はご自身で申請するか、資格代理人(司法書士)に依頼する方法があります。司法書士でない者が,他人から依頼を受けて登記申請手続の代理や申請書類の作成を行うことは禁止されています。

執筆:くらしフィード編集部 福崎

監修者:司法書士 釣井 真直
司法書士・社労士つるい法務労務事務所
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