相続人が海外在住者の場合の「自動車」相続手続きは?流れと必要書類

自動車

国際結婚や海外赴任などで、海外に在住する場合でも自動車の相続が出来るかどうか、気になる方は多いと思います。そこで今回は、相続人が海外在住の場合の相続手続きの流れや必要書類、注意点を紹介します。

1.相続人が海外在住の場合の相続手続きの流れ

被相続人が遺言書を残している場合、記載されている方が相続人です。ただし、遺言書がない場合は、相続人全員で車の新所有者が誰なのかを話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。なお、海外在住の相続人が不参加の状態で作成された遺産分割協議書は無効となります。

2.相続人が海外在住の場合の相続手続きの必要書類

遺言書または遺産分割協議書の準備が出来ましたら、「印鑑証明書」や「住民票」を用意する必要があります。しかしながら、海外には印鑑証明書と住民票の制度がないため、印鑑証明書や住民票の代わりとなる「署名証明書」や「在留証明書」を用意する必要があります。

【署名証明書】
日本で住所登録していない場合は、印鑑証明書を取得できないため、現地の日本大使館で発行してもらえる「署名証明書」を代わりに運輸支局へ提出します。海外では実印ではなく、サインで意思を表すことが一般的であり、印鑑証明書の制度自体がありません。そのため、本来実印が必要な書類にサインし、署名が本物であることを証明する署名証明書を運輸支局に提出します。署名証明書を発行してもらうには、パスポートを日本大使館に持参する必要があり、1,700円相当の手数料が発生します。

【在留証明書】
海外では住民票の制度がない国がほとんどのため、相続人の住所を証明する書類が必要な場合は、在留証明書を提出します。つまり住民票の代わりとなる書類です。例えば、軽自動車や不動産を相続する際は住民票が必要なため、在留証明書で代用します。

在留証明書を取得するには、パスポートのほかに住所や滞在期間を確認できる書類を持参する必要があり、1,200円相当の手数料が発生します。

【手続きの流れ】
上記の準備が出来ましたら、以下の書類を最寄りの運輸支局へ持参して手続きを行います。

  1. 被相続人の「除籍謄本」
    ※「除籍謄本」に相続権利者全員が載っていない場合には、「改製原戸籍」謄本も必要。
    ※「除籍謄本」ではなく、法務局で交付された「法定相続情報一覧図」でも代用可能。
  2. 「遺産分割協議書」
    ※相続権利者全員の「実印の押印」が必要。
  3. 申請相続人の「印鑑証明書」(3か月以内のもの)
  4. 申請相続人の「実印を押印した委任状」(本人申請は実印持参)
    また、第三者に譲渡する場合は「譲渡証明書」も必要で、第三者の方の移転登録に関する書類も必要です。
  5. 有効期間のある(抹消の場合は期間切れでも可)「自動車検査証」
  6. 抹消の場合はナンバープレートの返納、番号変更を伴う場合は車の持込が必要です。
    ※抹消しない「相続移転登録」(申請相続人が新所有者・使用者として自動車使用)で、申請相続人の住所が車検証記載の使用の本拠の位置と相違の場合、「車庫証明書」が必要です。

3.まとめ

被相続人の遺言書がない場合、相続人が海外に在住していても、遺産分割協議に参加しなければなりません。先述のとおり、相続手続きに必要な印鑑証明書は「署名証明書」、住民票は「在留証明書」で代用できます。これらは現地の日本大使館で取得が可能です。必要書類や取得条件があるため、事前に問い合わせて確認しておくとスムーズに発行してもらえるでしょう。

なお、相続人が海外に在住していても、相続税が発生する場合には税申告が必要なことを忘れないようにしましょう。
※税金面の詳細に関しましては、必ず税理士等、税務の専門家にご確認ください。

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